タマゴを割ると、蝶の羽が出てきた。
一枚。右の羽だ。
気味悪さに思わず後じさりするが、気を取り直して蝶の羽を拾いあげた。
「アオスジアゲハだ…」
虫捕りが好きだった子供の頃の気持ちが蘇る。羽を捨てる気はなくなっていた。
蝶の羽入りタマゴは、タマゴパックにひとつあることがわかった。
羽が出るとなんの蝶の羽かを図鑑で調べた。
オオムラサキ
ムラサキシジミ
オオカバマダラ
シンジュタデハ
数の少ない蝶、海の向こうの蝶の羽も頻繁に出てきた。
いつのまにか、僕の食事はタマゴ料理だらけになった。
オムライス
かに玉
親子丼
卵かけご飯
部屋の中は夜になってもキラキラと輝いている。
僕が動くたび、鱗粉が舞い上がる