目が覚めると、影が白い血をあちこち滲ませていた。ところどころ赤い血も見える。
「一体何があったんだ、ぼくの寝ている間に」
絆創膏を貼ってやりながら問い質す。影に無茶されれば、結局はぼくが困るのだ。
「通り魔を追い掛けた?それでちゃんと捕まえたのか?え?殺しちゃった?!死体は家の前?おいおい魂消(タマゲ)たねえ、こりゃ」
やっばり警察に行かなくちゃいけないかなあ。もしかしてぼくの影の罪はぼくの罪?でもぼくは寝てただけで。かといって影だけ牢屋に入るのもおかしな話だ。まったくなんてことをしてくるんだ、影は。ぼくと違ってずいぶん乱暴な性格だとは思ってたけど、まさか人殺しをするなんて。やっぱりここは知らんぷりをキメるしかないな。だってぼくはなにもしていないんだし。
パトカーのサイレンが近付いてきた。