アケミちゃんはアンドーナッツを食べます。アケミちゃんはアンドーナッツより甘納豆のほうが甘いから好き
なのだけれど、あいにく甘納豆は朝市で売っていませんでした。
アンドーナッツを食べ終わってあくびをしていたアケミちゃんは足元にアリが集まっていることに気付いきま
した。「あー!」と声をあげるとアリたちはアケミちゃんを見上げて
「アンドーナッツをありがとう、アケミちゃん。」
と言いました。アリたちはアンドーナッツのおこぼれにあずかったのです。アケミちゃんのお行儀は目に余るも
のがあるようですね。
あきらめの悪いアケミちゃんはアリに負けじとアンドーナッツのカケラを集めました。あまりにも浅ましいの
で茜色のアゲハチョウも呆れています。
茜色のアゲハチョウというのは雨上がりの朝の空き地にしか現れません。アケミちゃんはそれを見つけて
「あ!茜色のアゲハチョウだ」
と網を振り回しました。
あっという間にアゲハチョウを捕まえたアケミちゃんはアキラくんに挨拶に行きました。
「アキラくん、茜色のアゲハチョウを捕まえました。」
アキラくんは茜色のアゲハチョウが欲しくなって、アケミちゃんと争いました。
荒っぽく扱われたアケミちゃんは穴に埋められ、茜色のアゲハチョウは明くる日に泡になりました。あしから
ず。
きららメール小説大賞投稿作