懸恋-keren-
超短編
2002年4月21日日曜日
TOUR DE CHAT-NOIR
崩れそうな石の階段を上っていくと黒猫が待っていた。
「ようこそ。どうぞこちらへ」
なんと高い塔のてっぺんに出た。強い風が吹いている。
風は黄いろい粉が混ざっていてキラキラしていた。
黒猫はうにゃーと欠伸をしながら言った。
「どうですか?よい眺めでしょう。では、さっそく仕事に取り掛かってください。この黄いろい粉を集めないと私の命に関わりますのでね……」
「あッ!」黒猫を見て思わず小さく叫んだ。
彼にはしっぽがなかったのである。
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