懸恋-keren-
超短編
2002年4月30日火曜日
月をあげる人
月をあげる人がいるのを知っているかい?
そう、みんな知らないけど。
月はその人がいないと昇れない。ひとりではダメなんだ。
俺も月をあげることはできない。
彼の休みは大体十五日に一度だ。
俺は時々、彼に報酬の黄いろい粉を渡しに行く。
彼は黒猫を飼っているから、それが必要なんだ。
黒猫はたいそう生意気なヤツだ。
おまけに自分が飼われている、と思ってはいないみたいだけどね。
次の投稿
前の投稿
ホーム