月をあげる人がいるのを知っているかい?
そう、みんな知らないけど。
月はその人がいないと昇れない。ひとりではダメなんだ。
俺も月をあげることはできない。
彼の休みは大体十五日に一度だ。
俺は時々、彼に報酬の黄いろい粉を渡しに行く。
彼は黒猫を飼っているから、それが必要なんだ。
黒猫はたいそう生意気なヤツだ。
おまけに自分が飼われている、と思ってはいないみたいだけどね。
2002年4月29日月曜日
水道へ突き落とされた話
徹夜明け、洗面所でジャブジャブと顔を洗っていたら、後頭部をコツンと叩かれた。
洗面台に落っこちて、蛇口に吸い込まれた。
流れに逆らうのは、なかなか気分がよい。
そう思った瞬間、下水道まで流された。
洗面台に落っこちて、蛇口に吸い込まれた。
流れに逆らうのは、なかなか気分がよい。
そう思った瞬間、下水道まで流された。
2002年4月28日日曜日
2002年4月26日金曜日
2002年4月25日木曜日
星でパンをこしらえた話
月が瓶に入った黄いろい粉と星の欠片をくれるという。
「これでパンを焼いてくれ」
さっそくパンをこしらえた。
黄いろい粉をタネに星の欠片をトッピングに。
なかなかうまく焼けた、と満足した。
月は焼きあがったパンを持って帰ってしまった。
その晩の月はおいしそうな湯気を立てていた。
「これでパンを焼いてくれ」
さっそくパンをこしらえた。
黄いろい粉をタネに星の欠片をトッピングに。
なかなかうまく焼けた、と満足した。
月は焼きあがったパンを持って帰ってしまった。
その晩の月はおいしそうな湯気を立てていた。
2002年4月24日水曜日
自分を落としてしまった話
月が月を落とした。
彼は落ちるつもりではなかったのでとても驚いた。
彼も落とすつもりではなかったので戸惑い、焦った。
月に向かっていた。「よかった」と思った。
ぶつかる瞬間、月はゆがんだ。
彼は落ちるつもりではなかったのでとても驚いた。
彼も落とすつもりではなかったので戸惑い、焦った。
月に向かっていた。「よかった」と思った。
ぶつかる瞬間、月はゆがんだ。
2002年4月23日火曜日
ガス燈とつかみ合いをした話
酔っぱらってあちこち蹴飛ばしながら歩いていたら
「ちょっと君、失礼じゃないか。」と上から声がした。
周りには誰もいないので、もう一度そこを蹴飛ばしたら
それがつかみかかってきた。ガス燈だった。
格闘の末、火口を壊すとガス燈は動かなくなった。
次の晩ガス燈の前を通ると、やはり昨晩の体勢のままだったので
黄いろい粉を火口に蒔いておいた。
「ちょっと君、失礼じゃないか。」と上から声がした。
周りには誰もいないので、もう一度そこを蹴飛ばしたら
それがつかみかかってきた。ガス燈だった。
格闘の末、火口を壊すとガス燈は動かなくなった。
次の晩ガス燈の前を通ると、やはり昨晩の体勢のままだったので
黄いろい粉を火口に蒔いておいた。
2002年4月22日月曜日
2002年4月21日日曜日
TOUR DE CHAT-NOIR
崩れそうな石の階段を上っていくと黒猫が待っていた。
「ようこそ。どうぞこちらへ」
なんと高い塔のてっぺんに出た。強い風が吹いている。
風は黄いろい粉が混ざっていてキラキラしていた。
黒猫はうにゃーと欠伸をしながら言った。
「どうですか?よい眺めでしょう。では、さっそく仕事に取り掛かってください。この黄いろい粉を集めないと私の命に関わりますのでね……」
「あッ!」黒猫を見て思わず小さく叫んだ。
彼にはしっぽがなかったのである。
「ようこそ。どうぞこちらへ」
なんと高い塔のてっぺんに出た。強い風が吹いている。
風は黄いろい粉が混ざっていてキラキラしていた。
黒猫はうにゃーと欠伸をしながら言った。
「どうですか?よい眺めでしょう。では、さっそく仕事に取り掛かってください。この黄いろい粉を集めないと私の命に関わりますのでね……」
「あッ!」黒猫を見て思わず小さく叫んだ。
彼にはしっぽがなかったのである。
2002年4月20日土曜日
AN INCIDENT IN THE CONCERT
ホールはそのピアノを聴きにきた人々でいっぱいだった。
照明が落ち、塵の音もしないほどの静寂と緊張が訪れる。
お月様は開演ギリギリに席についた。
そしてピアニストと観客は〈月の光〉に満たされながら、そのメロディーに身を任せたのだった。
照明が落ち、塵の音もしないほどの静寂と緊張が訪れる。
お月様は開演ギリギリに席についた。
そしてピアニストと観客は〈月の光〉に満たされながら、そのメロディーに身を任せたのだった。
2002年4月19日金曜日
2002年4月18日木曜日
箒星を獲りに行った話
ある人にホーキ星を獲って来てくれと、ボロボロの地図を渡された。
その地図の★が指し示す場所まで行ってみると、古い洋館が建っていた。
ハテナと思いながら、門を開けると、少女が漆黒の瞳でこちらを見つめていた。
少女に案内されたのは、階段だった。
ミルクで磨いているであろう、その階段を、一段づつ上っていく。
その地図の★が指し示す場所まで行ってみると、古い洋館が建っていた。
ハテナと思いながら、門を開けると、少女が漆黒の瞳でこちらを見つめていた。
少女に案内されたのは、階段だった。
ミルクで磨いているであろう、その階段を、一段づつ上っていく。
2002年4月16日火曜日
2002年4月15日月曜日
2002年4月14日日曜日
2002年4月13日土曜日
2002年4月12日金曜日
2002年4月11日木曜日
2002年4月10日水曜日
2002年4月9日火曜日
2002年4月8日月曜日
2002年4月7日日曜日
黒猫のしっぽを切った話
黒猫がついてくるので、ミルクをやったら、みるみるしっぽが伸びて、ついに月に届いてしまった。
恐る恐る鋏でしっぽをパチン!と切ったら、黄いろい粉が舞い上がった。
「あァ、苦しかった!」
と月が叫ぶと、粉はみんなホーキ星になってあちこちへ飛んでいった。
恐る恐る鋏でしっぽをパチン!と切ったら、黄いろい粉が舞い上がった。
「あァ、苦しかった!」
と月が叫ぶと、粉はみんなホーキ星になってあちこちへ飛んでいった。
2002年4月6日土曜日
SOMETHING BLACK
〈黒い何か〉が言った。
「ちょっと失礼して調査させてください。イヤ、調査と言ってもごく簡単なものでしてね」
〈黒い何か〉は拡がって、縮んだあと、こう言って消えた。
「では、良い日常を!」
「ちょっと失礼して調査させてください。イヤ、調査と言ってもごく簡単なものでしてね」
〈黒い何か〉は拡がって、縮んだあと、こう言って消えた。
「では、良い日常を!」
2002年4月5日金曜日
2002年4月4日木曜日
2002年4月3日水曜日
2002年4月2日火曜日
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