2002年5月15日水曜日

AN INCIDIDENT AT A STREET CORNER

夕闇のなか、家路を急いでいた。
家につく最後の角を曲がったら、また、曲がる前の道に出た。
もう一度、曲がったら、今度は家の先の道に出た。
「なあ、早く帰りたいんだが、なんとかしてくれよ」
そう言うと、空が歪んで見えた。

2002年5月14日火曜日

見てきたようなことを云う人

「月の裏側は、真っ赤なのだ。黄色が不足したから」
「流れ星っていうのは、パチンコで飛んでるのだ」
「あの黒猫はもう248年も生きている」
そう言いながら向こうから歩いてきた男は、お月様と同じタバコの香りがした。

2002年5月13日月曜日

友だちがお月様に変わった話

友だちと喫茶店でコーヒーを飲んでいた。
彼がトイレに立ち、戻ってきたのはお月様だった。
「俺の友だちはどうした?」
お月様は、黙って鏡の前に立った。

2002年5月12日日曜日

THE BLACK COMET CLUB

その団体は、とても有名だったが、何をしているのか誰も知らなかった。
皆、黒いマニキュアをして早足で歩くので、黒い彗星のようだ、と人々は噂した。

2002年5月11日土曜日

散歩前

散歩に出かけるため靴を履こうとしたが、靴が嫌がる。
ドアを開けようとするが、押し戻される。
ハテ?何か忘れ物でもしたのだろうか……。
ああ、椅子から立ち上がるとき、伸びをするのを忘れていた。

2002年5月10日金曜日

コウモリの家

その客は、一晩中、酒と花を愛でていた。
ただ、それだけだった。
こちらも、ただそれを見ているだけだった。
そして、彼は誰時になり
「では、失敬」
と窓から飛び出していった。
追いかけると、噂の幽霊屋敷へと入っていった。

2002年5月9日木曜日

黒猫を射ち落とした話

窓から見える塀の上を黒猫が歩いていた。
それはだんだんと巨大になり、しかもこちらに向かってものすごい速さで突進してきた。
銃を向けるとそいつはますます大きくなり、周りの景色は見えなくなった。
バン!
巨大猫は塀から墜落した。見に行くと、そこには大量の砂利が落ちていた。
むこうの屋根に黒いしっぽが見えた。