超短編
祖父母の家では雄鶏を飼っていた。なんとなく平べったい印象で、よく空を眺めたりなんかしていて、うまく言えないけど、あまり鶏らしくなかった。祖父は「あれは風を読むのがうまいんだ」と目を細めて言っていた。元々は祖母の生家の屋根に付いていた風見鶏だと知ったのは、祖父母亡き後のことである。