2024年8月1日木曜日

夏の星々140字小説コンテスト 「高」未投稿作

毎朝、木に登る。私が誕生したその日に父が庭に植えた木だ。枝に腰掛けて町を眺めるのが日課だ。私の身長はとっくに成長を止めたが、木は今も伸び続けている。眼下の町が少しずつ小さくなる。夜明け前から登り始めないと枝に辿り着けなくなってきた。朝焼けに目を細める。ずいぶん高くまで来たものだ。