懸恋-keren-
超短編
2015年12月22日火曜日
十二月二十二日 鳩
私の行く先々で、鳩が熱心に食事をしている。このまま進めば鳩の横や前や後ろをスレスレに歩くことになるが、おそらくは鳩のほうが先に気がついて飛び立つだろうと思う。
ところが、今日はどの鳩も、私のことなどお構いなしに食事を続けているのだった。靴と鳩とがぶつかりそうなくらいな距離なのに。ここいらの鳩には警戒心というものがないのか、けしからん。いや、もしかすると私の気配がないのかもしれない。ふと不安になる。
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