超短編
一歩町に出れば、子供らがまとわりついてくる。
「キャンディーくれよ、おっちゃん」と、子供らは歌う。
ある子は、ラッパを吹きながら、別の子はフライパンを叩きながら、またある子は踊りながら。
そうして楽団のような子供らを引き連れて、俺は飴岩山に登るのだ。
ツルハシでほら、飴の岩を叩けば、大歓声。
リュックサックにおみやげ詰めな。弟妹にも分けてやるのだぞと歌い聞かせて、下山する。
俺はツルハシを舐めながら、大声で歌う。