懸恋-keren-
超短編
2009年10月18日日曜日
冷たい紅
きみが珍しくルージュを引いていることは、すぐにわかった。大時代のモデルみたいな、真っ赤でくっきりした唇だから。
どうしたの? と聞く前にキスしてしまうことにした。
冷たかった。温めようとして唇をはむ。舐める。熱い吐息を掛ける。それでもいつまでも冷たかった。
ようやくきみがきみでないと知る。
途端に自分の唇が冷えて行くのを感じる。これから恋人に会いに行かなくてはならない。
(181字)
+創作家さんに10個のお題+
変なのが書けた(ニヤリ)。たぶん一種の吸血鬼譚
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