懸恋-keren-
超短編
2009年7月22日水曜日
七月二十二日 赤い糸
赤い糸は長すぎる。細すぎる。絡まって仕方がないから解きにかかる。
けれど解くのに夢中になって、一体この糸で何を縫おうとしていたのか、忘れてしまう。
いつまで経っても解けない。解いても解いてもまだ絡まり、ダマがいくつも出来ている。解くのを諦めて糸を手繰っていったら、外に出てしまう。歩いて歩いて、結局、公園で昼寝をしているウサギの薬指にたどり着いた。糸切鋏を取りに帰ろう。
(183字)
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