2008年2月8日金曜日

車が一台足りません

「車が一台足りません」
と申し訳なさそうに、老紳士が言った。今夜の運転手を頼んだ男だ。
「世界中の車がすべて使われていて、一台も余っていないのです。調達できなかったのは、私の責任です」
いや、キミのせいではない、と私は言った。
老紳士と私は同時に天を見上げる。そこには、この世界の神である五歳の男の巨大な目玉があった。
神の声が響く。
「ママ、ミニカー買って!」