懸恋-keren-
超短編
2008年2月21日木曜日
冷めないうちに召し上がれ
冷めないうちに召し上がれ、ってキミは言うけれど、ぐつぐつと沸騰しているこの野菜スープを今すぐに飲むのは不可能だ。
キミはニコニコとぼくがスプーンを口に運ぶのを待っている。もしかしたら、キミはぼくがきらいなのかもしれない。ぼくに火傷を負わせようとしているのだから。
そう思ったら堪らなくなって野菜スープを頭の上からキミにかけた。
キミは全身から湯気を出して、相変わらずニコニコしている。
どうせ火傷をするならば……今からぼくは、熱いスープを舐めるためにキミに抱きつくよ、いいかな?
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