懸恋-keren-
超短編
2006年6月26日月曜日
雪模様
雪の晩、旅の黒曜石氏が訪ねて来た。
「一晩泊めてくださいな」
寒かっただろう、ゆっくりしていきなさいと招き入れた。
頭や肩に雪を積もらせていたから、風呂に入るように勧め、茶漬けとポテトチップスを用意して、私は寝た。
翌朝、少し遅く起きた黒曜石氏は、体に雪模様が残っていた。
「風呂に入っても取れなかったんです。役所に行って来なくては……戸籍をスノーフレーク・オブディシアンに変える手続きをしてきます」
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