2020年8月24日月曜日

願譚 7

箸やフォークが当たると音楽が鳴るように、 世界中の丸くて平たい皿にこっそりと細い溝を切りたい。(46字)

2020年8月23日日曜日

願譚 6

唐草文様を指でなぞっていたら、いつの間にか本当に蔓草がそこらじゅうを這い回っているから、蔓の根本を探す旅に出たい。(57字)

2020年8月22日土曜日

願譚 5

ラムネ瓶のビー玉になって、どこかの子供に飲み干された後は、淡い青緑に歪んだ世界を只管黙って眺めていたい。(52字)

2020年8月21日金曜日

願譚 4

秋になったら広大なススキ野原に行って、一晩掛け、穂を束ねて結わいて、木莵だらけにしたい。(44字)

2020年8月20日木曜日

願譚 3

恋仲になった書家が送って寄越す手紙から流麗に立ち上る文字と、夜な夜なしとどに戯れたい。(43字)

2020年8月19日水曜日

願譚 2

幽閉されているビスケット城の塔で、牛乳を垂らしながら城を崩し食べ、崩し食べ、食べ飽きた頃に脱走したい。(51字)

2020年8月18日火曜日

願譚 1

冬の夜、白猫のやわらかな胸毛に潜り、一晩眠ったあと出立式をし、尻尾の先で鰯印の旗を振りたい。(46字)