超短編
ニクスは雪のように白い紙で本を作って売り歩く。お客は不意にニクスの前に現れて「よいタイトルだね。中を見ても?」と決まって言う。パラパラ捲って「面白そうだ。君が書いたの?」と、これも必ず聞かれてニクスは曖昧に微笑む。ニクスはペンを持っていない。雪のように白い本を、汚したくないから。