超短編
少々軽薄だが口遊みたくなるメロディーが聞こえる。「ポカポカ印の灯油販売車です」あぁ半年ぶりの灯油屋か。春まで毎日聞くことになるだろうが、販売車は何年も見ていない。この辺りでは焼き芋屋も竿竹屋も売り声だけが残っていて、今も変わらず夕暮れの町内に響く。灯油屋も大方そんなところだろう。