超短編
母は耳飾りを持って生まれた。センリョウの実のような小さな赤い飾りだ。耳飾りは、子供の頃は緑色だったらしい。母が恋を知ると色づき、父と出会うと真っ赤になり艶を増した。母の耳飾りは、いつも美しかった。父が亡くなってからは透明になり、今はロッキングチェアで寝る母の耳で静かに揺れている。(140字)
+++++++++++三席受賞星々 九月の星々結果発表『言葉の舟 心に響く140字小説の作り方 』 (ホーム社)掲載