超短編
埃まみれのそれが水中花だと気づいたのは無口な兄だった。水に沈めてみろと身振りで言う。汚れかと思った赤っぽい部分は花だった。花が開くにつれて水が濁る。埃を掃ってからにすればよかったが、鮮やか過ぎる赤い花を見ずに済んだのは幸いだった。