懸恋-keren-
超短編
2015年10月12日月曜日
十月十二日 猿との遭遇
「さるサル猿!」
と、ウサギが叫ぶので、車は急ブレーキで止まった。貫禄十分の雄と思われる猿は、ノッシノッシと車の前を歩き、それから車の上を歩き、最後に車の下を歩いた。
車中は緊張で張り詰めていたが、猿は車に狼藉を働くことなく、去っていった。ただ、去るときに、もぐもぐと口が動いていたので、一つくらい車の部品を食べられてしまったかもしれない。
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