蟻地獄男爵の孫であるところの茸仙人へ逢いに、一行は歩いて行くことになった。
鯨怪人に乗っても、飛行師に乗っても、瘤姫に乗っても、木々の多すぎるこの森をうまく進むことができなかったからだ。
自然と蝸牛男は殿となり、奇行師の励ましの声も届かなくなり、ついにはひとりぼっちになった。
ノロノロと進む蝸牛男は、好都合だと思った。ぬめり気のある自分と、胞子をふりまくであろう茸仙人は仲良くなれそうにない、そう感じていたのだ。
「蝸牛男よ。まあ、そう言わずに。本物の蝸牛は本物の茸が好物だから、なんだったら食べてもよいぞ」
蝸牛男の前に茸頭の老人がウインクしながら現れた。