2013年10月5日土曜日

奇行師と飛行師4

「キミ、浮き足立っているね」
ついに飛行師は奇行師の支えなくとも飛べるようになったが、着水瞬間の競泳選手のような体勢である。
勢いよく飛んでいるようにはどうやっても見えない。地面に突っ込んでいくような格好である。
だが、飛行師はあまり気にしていないらしい。奇行師も「浮いて歩く」だけの飛行師よりもずっと奇行で宜しいと思っている。
つんのめって飛ぶ飛行師の傍らをカツンコロンと歩きながら奇行師は言った。
「我を乗せて飛ぶことはできるか?」