2013年2月6日水曜日

鍋の謝罪

「申し訳ありません」
と、火から下ろした鍋が呟いた。
「え?」
聞き返すと
「申し訳ありません。火の通リが不十分で……」
あら、それならもう一度、火にかけるから大丈夫、教えてくれてありがとう。
鍋を火に戻すと
「私が未熟なばっかりに」
とまだぶつくさ言っているので、その日の煮物は黙って食べることにした。