超短編
老人の鼾が聞こえる。一日中、規則正しく。
起こしてはいけない。と、私は物音を立てないように暮らす。
いつかそれが途切れるのではないか。と、私は耳を澄ます。
この部屋に暮らし始めて、もう七年になるだろうか。
老人の鼾が聞こえる。