私の祖母は、豆まきで怪我した鬼たちを家に上げて手当する人だった。
鬼は子供の私よりもだいぶ小柄で、豆が当たった所が痛いと言って、めそめそ泣いている。
ほとんどの人の目には見えないのに、こんなに小さいのに、どうして人々が適当に蒔いた豆に当ってしまうのだろう。
不満のような疑問のようなことを言うと、祖母は、「鬼だからねえ……」とニコニコしながら、鬼たちを赤ん坊のように抱いて撫でる。
祖母が他界してからは、私が鬼の手当をしている。消毒液と、絆創膏をたくさん用意して。
早速、鬼の泣きべそが聞こえてきた。