異星人が訪ねてきた。本人がそういうのだから異星人ということにする。
「私の星の者は、地球人の未来を予見することができるのだ」
それはそれは。
「おまえの未来は、少々複雑で予見が難しい。特殊な地球人だな、おまえ」
平凡なサラリーマンのつもりなのだが、異星人に「特殊」呼ばわりされてしまった。
「そういうわけで、おまえの未来を解く必要がある。未来は己で解くがよい」
異星人は何やら色とりどりのガラス球が幾つか付いた糸のかたまりを差し出した。
仕方なしに糸を解きにかかる。細い糸で、扱いにくい。癇癪を起こしかけると「切れるとおまえの命があぶない」などと脅かす。
糸を解く間、異星人は勝手知ったる様子でお茶を飲んだり、雑誌をめくったりしていた。
ようやく解いた糸のかたまり、最後に手に残ったのは青いガラス球の付いた糸だった。
「これがおまえの未来だ。すっきりしただろう」
異星人は、青いガラス球の糸を右のポケットに、他の糸をまたぐちゃぐちゃと丸めて左のポケットに押し込んだ。
結局、どんな未来かは教えてもらえなかった。それよりも、他の糸……赤や紫や黄色のガラス球たちの未来がなんだったのか気になって仕方がない。
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SFファン交流会出張編投稿作