小さな小さな一粒ダイヤモンドのペンダントだが、これが思った以上に自己主張の強い代物だった。
ほんの少し、大人になりたくて買ったのだ。それほど高価なものではなかった。
ダイヤモンドは、お日さまの光なんて必要なく、輝いた。
日に日に輝きは強くなり、身に着けている私の目にも眩しい。
すれ違う人が目を細め、それから怪訝な顔で私を見る。
せっかく買ったダイヤモンドなのに、なんだか、肩身が狭かった。
とうとう、ペンダントを外すことに決めた。
日常でダイヤモンドを身に着けるという私のささやかなあこがれが、崩れていく。
チェーンを外そうと首に手を回した瞬間、ペンダントは真夏の太陽のように輝いた。きつく瞼を閉じる。
「私がダイヤモンドだ」
と、いう叫び声が響いた。
ようやく眩しさから開放され、目を開けると、真っ黒になったペンダントがくすぶっていた。