鳥の巣といえば、小枝や獣の抜け毛を集めて作ることが多いわけだ。
まれに都会のカラスが人間の道具を材料にすることもある。
このカラスは、それどころではない。人間に指示を出して作らせるのだ。
飼われたこともないのに、人語を覚えたこのカラスは、よりによって建築家の家のバルコニーに居座って、とうとう建築家に巣を作らせた。
建築家は、よりよい材料を調達し、カラスの求める巣を作り上げた。
カラスはそこで子を作り育てたが、毎日テレビカメラが来るのは、予想していなかったことだった。
建築家はカラスの巣の掃除に余念がなかったが、それを上回るペースでカラスと子供たちはフンをして、思う存分に巣を汚してから、巣立っていった。