2011年8月2日火曜日

鶫の防禦

鶫が口を噤むのは、元来のお喋りからうっかり秘密を漏らしてしまわないように……ではないらしい。
好物のケラに呼ばれたり、ミミズに呼ばれたりすると、ついつい出かけてしまう鶫なのだ。
これはもしかしたら罠かもしれない。でも、ご馳走にありつけるのだったらこの機会を逃すわけにはいかない。
そう考えていると、さすがの鶫も無口になってしまうそうだ。
無口になった鶫は気配も消えて、天敵のテンにも気づかれない。
それで彼らの命はずいぶん助かっているのだが、鶫もテンも知らないことだから、私は口を噤んでおこう。