2011年7月14日木曜日

昼寝で見る夢

 昼寝をすると、大概、おかしな夢を見る。一番よく見るのが、歯がぼろぼろと抜ける夢で、口から次々と歯が溢れてくる。吐き出しても吐き出しても歯が溢れてくる。もっともこれは、私が酷い歯軋りをするせいだろう。
 次に多いのが、蔦のようなものが腕に絡まり、身動きが取れなくなる夢。次第に頭にも絡まり、段々と痺れて息苦しくなり、焦る。これは腕や手を頭の上で組んで寝る癖があるからだ。きっときつく組み過ぎて、それで痺れてしまうのだと思う。
 どちらにしろ、睡眠中の身体感覚が夢に現れているだけの話だ。
 今日も私は午睡を貪り、夢を見た。
 夢の中の私もやっぱり寝ている。昼間だというのに、なかなか温まらず、布団を顔まで被っている。
 目を閉じて、布団を被っているのに、部屋の様子が見える。透視だ。だが、夢の中の私はその能力について疑問を持っていない。
 布団の傍に男がいる。男は、床から突き出る手を引っ張り上げている。その動作を繰り返し、何人もの女が現れる。大勢の女と、一人の男が私の布団を取り囲んで布団の上から私をくすぐり、ひっかく。布団の中で痛痒さに耐えながら、そっと眼球を動かし、私は男たちを観察する。
 突如、男が欠伸をした。それを合図に女たちが一斉に私の布団を捲る……!
 そこで目が覚めた。たった今の話だ。やっぱり、昼寝で見る夢はロクでもない。夢の中の痛痒感は嘘ではなかったのだ。酷い蕁麻疹が出ている。
 そして、布団の周りには夥しい数の、女の手が落ちている。

怪談大賞に出さなかったもの。