悪魔の精子を手に入れた。宅配で届いたそれは幾重にも包まれ、保冷剤で冷たくなっていた。
瓶に入った精液は紫がかり、いかにも悪魔色をしているのが可笑しい。
悪魔とはインターネットで知り合った。「あなたの子供が欲しい」とメッセージを送ると、裸の写真を送れと返事がきた。会って交合することはできないが精液を送ることはできる、そのために裸の写真が必要だ、と。
私は考え得る限り煽情的なポーズで写真を取った。果たしてこんな姿で悪魔の欲情を呼ぶことができるのか、不安ではあったが他に術がない。悪魔から「よくできた」とメールが来たときには、我ながら驚くほど胸がいっぱいになった。
私も悪魔の精子を受け入れる仕度をしなければならない。一体どうすればと思っていたが、悪魔の答えは至極簡単だった。「注射器を使え」というのである。
用意しておいたのは極太の硝子でできた注射器だ。針は付けていない。ここに紫の精液を注ぎ終えると、瓶にわずかに残ったそれを指で掬い舐めてみた。予想に反した甘さに、うっとりとする。
私は自らの手で身体を昂ぶらせると硝子の注射器を挿入した。ピストンを押し込み、精液を送り出す。まだ冷たかった精子だが、胎内に放たれると一気に暴れた。私の身体はその刺激に強く収縮し、硝子の注射器を砕いた。
破片は身体の内外を次々と傷付ける。膣を切り裂き、内腿に刺さり、子宮に埋まった。なおも精子の勢いは衰えず、私は歓喜の声を上げ続ける。