懸恋-keren-
超短編
2004年2月25日水曜日
トマト
「トマトジュースを浴びなさい」
恋に破れた僕に、その子は言った。
4才くらいのその男の子は
公園のベンチで呆然としていた僕に近寄ってきて
「よしよし」と頭を撫でトマトの缶ジュースを差し出しながら、そう言ったのだ。
トマトジュースなんか浴びたら大変なことになる。髪も服も赤くベトベトになってしまうではないか。
「さぁ、早く」
有無を言わさぬその声に僕は半ば諦めて缶を開けた。
その後どうなったかって?ニコニコしながら家に帰ることができたよ。
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