懸恋-keren-
超短編
2002年3月22日金曜日
ハーモニカが盗まれた話
振り返ると、ハーモニカが無くなっていた。 テーブルの上に置いて、台所へ向かおうとしたその瞬間、白い影が横切り、振り返ると、ハーモニカが無くなっていた。
外に出ると、あたりは夕闇だった。
北東の空に白く輝く流れ星ひとつ。
冷たい風と木々のざわめき。
よく朝、ハーモニカはテーブルの上にあった。
氷の粒がびっしりついていた。もう、音は出ない。
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