懸恋-keren-
超短編
2002年3月20日水曜日
投石事件
ある晩、ドッシャ、と音がして振り向くと、床に握り拳大の白い石が落ちていた。
本棚があって、ニスの剥げた机と錆びたパイプ椅子、キゴキゴとうるさいベッドがある、私の部屋。窓からは、空と無花果の木が見える。 その部屋の真ん中に、石がいる。
窓は割れておらず、外には誰もいない。
見上げると月が笑っていた。
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