超短編
九月某日、曇。いつもの場所に彼岸花が咲いている。例年、眩いほどの朱色を滴らせる彼岸花たちだが今年は斑に薄かったり、黒ずんでいたり、どうも精彩を欠く。「暑かったもんなぁ」と話し掛けると一斉にこちらを向き、猛暑の深刻さを訴えるのだった。「来年はどうするつもりか人類よ」問われ、口籠る。