超短編
九月某日、曇。風船の敬老会に呼ばれた。シワシワの赤い風船、空気が抜けてクタッとした橙色の風船、一人で浮遊している青い風船。それぞれに可愛い。私は萎びた黄色い風船を大事に持って、調子外れの歌を歌った。隣の白い風船は最長老、気持ちよさそうに浮いている。老風船にバルカン・サリュートを。
八月某日、大雨。土砂降りの日には、徒歩二分「たぬきの店」へ買い物へ行く。「支払いは葉っぱのみ」。どうしても食料が足りないが外に出たくない日、つまり大雨の日に利用することになる。葉っぱは拾い集めておいて、銀行で「この葉っぱをお金にして下さい」と頼む。葉っぱの現金化には四十分掛かる。