2017年2月25日土曜日

二月二十五日 行列

ハンバーグ定食を食べるつもりがロースカツ定食になったのは、洋食屋に大行列ができていたからだ。
洋食屋をあっさり諦めて(腹が減って、その場に座り込みたくなるほどだったから)、向かい和定食屋に駆け込んだ。
和定食屋に客は誰もおらず、店の親父はブラウン管(ビデオデッキ付きの!)のテレビでニュースを見ていた。私は座るや否や「ロースカツ定食!」と言い、親父は奥に向かって「ロース一丁」と言って、カツを揚げ始める。揚げ油の匂いと音で、腹の虫が10匹増えた。

まもなく、副菜が山ほど付いたロースカツ定食がやってきた。
無我夢中で食べ、先ほどの倒れ込むような空腹とは打って変わって、寝転びたくなるような満腹の身体を抱えて勘定を済ますと、いつの間にか店内は客で一杯で、店の外にまで並んでいた。
向かいの洋食屋にはもう行列はなくなっていて、窓から中を覗うと、客はひとりもいないのだった。