クドーさんちには出窓があって、ときどき黒猫が鎮座ましましている。
大きくて、最初に見たときは置物かと思うほどジッとしていた。
久々にお目に掛かる。こちらに気が付かなかったようで、立ち止まってじっと見ていたら、「ハッ」とこちらを見返した。
そして、クドーさんちの黒猫は、大あくびをして、青い煙をもくもくと吐いたのだ。
私は驚いて後退る。窓越しなのだから、青い煙を吸い込む心配はなさそうだったけれど。
気を落ち着けて、もう一度、クドーさんちの出窓を見たら、今度は大きな白猫がいた。私の着ていた黒いコートも真っ白になっていた。