懸恋-keren-
超短編
2015年9月15日火曜日
moon babies
月の使いであるところの小さな人が、小さな小さな風船を持って、夜風を読む。
いや、風船ではない。風船に見えたそれは、よくよく見れば小さく幼い月たちである。
この小さな人は永くトランクケースで眠っていたが、小さな月たちが騒ぐので、満月に帰るための風を待っているのだった。
幼い月たちは、晩夏の夜風にうまく乗れるだろうか。
イラストレーション:へいじ
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