超短編
傘立ての中で忘れ去られた蛇の目傘の蛇の目は、すっかり干からびて涙も枯れた。
五才の人が、家中の傘をひっぱり出して道に広げたもんだから、久しぶりに蛇 の目は目を見開くことができた。
積乱雲が見える。そして夕立。
雨が降ってよかったねと、五才の人が蛇の目に潜りながら言う。
#twnvday 6月14日ついのべの日 お題「ぐるぐる」 サブ企画「雨が降ってよかった」