超短編
「骨を食えば、骨になる。骨すなわち格である」
食うものがなくなり、味のしなくなった骨を咥えている野良犬に、そんな説教をした坊さんがいた。
犬はこれ幸いと坊さんを襲い、食べ始めたが、坊さんもまた即身仏寸前であったので、大して肉にはならなかった。
それでも犬はすみずみまで不味い坊さんを食べ尽くした。
それから坊さんの背負っていた頭陀袋を漁ると、大小様々な骨が出てきた。人間のも、獣のもあった。白いのも黒いのもあった。
犬はそれを蹴散らして、味のしない骨を啜りながら、また彷徨い始める。