「赤いうがい薬と、青いうがい薬と、黄色いうがい薬、どれがいい?」
と息子が言う。お店やさんごっこをしているようだ。
「それじゃあ、黄色いうがい薬下さい。ゴホンゴホン」
風邪をひいている風をして、客の役をやって見せる。
「黄色いうがい薬は、風邪には効きません。ヒマワリと話ができます」
最後は息子の声ではなかった。低くてガサガサした男の声。
「ハイ! 3250円です」
なんて高いうがい薬だ。と、思う前に古びた小瓶を渡された。絵の具を溶かしたような黄色の色水が入っている。
おもちゃのお札と引き換えに小瓶を受け取る。こんな瓶、どこで拾ってきたのだろう。
「ね、早くうがいして! 早く早く!!」
瓶の蓋を開けると、庭に咲いたヒマワリ達が一斉にこちらを向いた。