「鰻には注意しなさいよ」と鴎は散々親から聞いていたけれども、鰻というのがどういうものだかは教えてもらわなかったのである。
「あなたの伯父さんは、鰻に殺されたの」と聞かされれば、鴎も鰻を恨めしく思う。
きっと「鰻」というのは、鋭い牙とか角とか、爪とかを持っていて、大きくて恐ろしいものだろうと、一生懸命想像した。
さて、そんなことを考えていたら、腹が減ってきた、海の中に黒くて細長い生き物がいる。あれはまだ食べたことがないが、魚のようにピチピチと暴れたりはしないだろう。きっと捕まえやすいはずだ。
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原本のエピソードをそのまま使いました。鰻に首を閉められて殺される鳥が結構いるそうです。
(戦前の本の内容で、確認は取っていません。)