お手伝いが得意な犬は、飼い主に「ご褒美は何がいい?」と聞かれると決まって「メダルを下さい」と言うのだった。
飼い主は、それは真面目で、おまけに裕福な人だから、「よい働きをした証に」という意味の言葉を入れた小さなメダルをたくさん鋳造してもらい、犬がよく手伝いをすると恭しくメダルを首に掛けてやった。
犬は自分の小屋に宝箱を持っていて、飼い主から貰ったメダルをきちんを仕舞っていた。
そして、近所の犬や猫や子供が良いことをすると(それは落し物を拾ったとか、老人に親切にしたとか、ささいなことだった)、宝箱からメダルを持ってきて、飼い主の真似をして恭しく渡すのだった。
そのうちに犬が年老いて死んでしまうと、街中の犬や猫や子供やかつて子供だった若者がメダルを持って飼い主のところにやってきた。
飼い主は犬にやったメダルをこんなにも多くの人が持っていたことに多い驚き、これからもメダルを作り続けると約束すると、街の人は大層喜んだ。