縁側で目が覚めて欠伸をして伸びをしたところで、子猫になっていることに気がついた。
硝子窓に己の姿を写してみる。まだまだ小さいがなかなか良い姿ではないか。特に耳の形がいいと思う。
人間だった時はためつすがめつ鏡を見ることなんて滅多になかった。冴えない中年男だったのだから。
俺はもう一度伸びをしてから考えた。まだ日は高い。縁側はこれ以上ないほど心地よいが、もう一眠りするには惜しい気がする。これから猫として生きてゆくのだ、辺りを探索したほうがいいのではないか。
迷っているうちに、お日さまの野郎は、俺をぬくぬくとあたためる。欠伸が止まらない。