懸恋-keren-
超短編
2007年8月18日土曜日
八月十七日 図書館への道
夏の緑が繁る遊歩道を通り抜け、林の突き当たりに図書館はある。
遊歩道は事切れた蝉と干からびた蚓で埋め尽くされていて、それを踏まないように慎重に歩かなければならない。
時折吹く風は、木々を大袈裟に揺らす。涼しいのを通り越して、寒い。
それは蝉のせいでも蚓のせいでもなく、図書館がコレクションしている怪談話のせいだと思う。
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