2007年8月12日日曜日

八月十一日 電線鴉

鴉が電線に並んで留まっていた。
びっしり整列した漆黒の鳥たちは、電線がたわむのにも構わず、皆同じほうを睨んでいる。
彼らが睨むのは、青々とした水田の上に広がる、夏空に居座る、積乱雲。
一斉に雲を目指して鴉は飛び立った。弾みで電線がしなる。大きく揺れる電線から、閃光が走り雷鳴が轟く。