2006年2月2日木曜日

毒の味

魔女が薬を作っている。僕に飲ませる毒薬に違いない。
しかしどうにも手つきが怪しい。
目にも留まらぬ速さでナイフを動かしているが時々「イタッ」とかわいらしい声を出して、僕を睨む。
僕は囚われの身で、猿轡を噛まされ後手に縛られているのだから、どうすることもできない。
……本当は縄が緩くて手が抜けそうなんだけど。
ようやく毒薬が出来上がったらしい。魔女はそれを指で掬って舐めた……いけない!
それは毒だ!
僕は立ち上がって、魔女を抱きしめ、強引に唇を奪った。
どうせ、僕が飲む毒薬だもの、どこから飲んだって一緒じゃないか。

《Marinba》